よくあるご質問(FAQ)発光に関連したFAQ光の組織透過性について一般的に光の組織透過性は、波長と発光している細胞(光源)周辺の生理的な環境(組織)に依存しています。組織は光の吸収と散乱を引き起こす媒体であるため、光が組織を通過する時に400~590nmの青緑色光領域では強く減衰し、590~800nmの近赤外線領域では減衰が少なく、組織を透過しやすいことが知られています。 発光イメージングにおいてよく使用されているホタルのルシフェラーゼは、青色~黄緑色(560~570nm)の波長をピークに持っていますが、発光スペクトラムが広いため、組織透過率の高い600nm以上の光も十分含んでいます。また、現在販売していますBioware Brite細胞株やRediFect Lentiviral Particlesに使用されているRedFlucはLuciola italica由来のホタルルシフェラーゼで、波長において620nmをピークに持つため従来のホタルルシフェラーゼよりも組織透過性に優れています。 IVISは、この組織を透過した非常に微弱な発光においても超高感度CCDカメラによりシグナルをとらえることができます。 In Vivo imaging of light-emitting probes ルシフェリン1gで何匹のマウス・ラットに投与できますか?投与量は体重1gあたり、150μgです。マウスの体重を20gと考えると約300匹(回)、ラットの体重200gの場合は約30匹(回)、300gでは約20匹(回)です。 ルシフェリンの希釈方法についてD-Luciferin, Potassium Salt,(1.0g/vial)をダルベッコPBS(Ca2+, Mg2+不含)に溶解し、保存溶液(30mg/mL)を作製する。投与時に150mg/kgとなるように調製してマウスに投与します。 参考資料 ルシフェリン調整方法 ルシフェリンの血中濃度のピーク(時間)はどれぐらいですか?パーキンエルマー社推奨の濃度を腹腔(i.p.)投与した場合、ルシフェリンの血中動態をみると約15分程でピークとなり、投与の30分後には0近くになっていることからクリアランスタイムは約30分と考えられます。 また、静脈内(iv)投与の場合、投与直後がルシフェリンの血中濃度のピークとなり急速に低下するため、投与後直ちに測定する必要があります。 ルシフェリンの体内分布についてルシフェリンは血液-脳関門(blood brain barrier)や胎盤なども通過することが確認されており、全身に分布することが知られています。 Cell Uptake and Tissue Distribution of Radioiodine Labelled D-Luciferin: Implication for Luciferase Based Gene Imaging ルシフェリンの毒性についてルシフェリンの動物への有害な反応(毒性や免疫学的に)は認められていません。また、連続投与による毒性も認められていません。 ルシフェリンの保存温度についてルシフェリンの保存温度は-20℃以下を推奨します。ただし調整後分注したものは-20℃以下(遮光下)で小分け保存して、凍結融解は避けてください。 長期保存の場合には、-70℃で保存することを推奨します。この条件で保存すると1年間は安定です。 ルシフェラーゼ遺伝子の発現の強い臓器はありますか?一般にルシフェラーゼ遺伝子の発現の強弱を決定する第一の因子は、プロモーターの活性の高さです。従いまして、一概にどの臓器で発現が強いとは言えません。 例えばCMVプロモーターを用いたTgマウスでは特に皮膚や精巣で強い発現が見られます。その他には骨、胸腺、脳、脂肪組織などで比較的強い発現が認められています。 動物の体毛の影響はありますか?体毛による影響はあります。 黒い毛や有色毛などは光を吸収するため、毛を剃るか脱毛剤などで除毛処理したうえで測定することを推奨します。ヌードマウスなどの毛のないマウスでは最もクリアなシグナルが得られます。白い毛(アルビノ)であれば殆どのアプリケーションへの問題はありませんが、微弱なシグナルを測定したいときには剃毛・脱毛を行うとよりシグナルを得やすくなります。 蛍光に関連したFAQ蛍光たんぱく質・蛍光物質等の選択について一般的に光の組織透過性は光の波長に強く依存します。(※光の組織透過性ついて参考)
AddGene:https://www.addgene.org/kits/#fp 蛍光イメージングの際の動物の飼料についてAlexa Fluor 680やCy 5.5に代表される600nm付近の蛍光波長域においては、通常のマウス・ラット用飼料では飼料自体が蛍光を発するため、特に消化管に蛍光シグナルが出やすくなります。 販売元:EPトレーディング、日本クレア、オリエンタル酵母(日本チャールス・リバー)、日本エスエルシーなど 装置の性能や解析に関連したFAQ定量性について細菌数や腫瘍体積と光の強さの間には非常に良い相関関係が認められています。従いまして、細胞数や腫瘍体積を光の強さに変換した相対的な値による定量が可能です。 測定可能な細胞数は何個ですか?細胞の種類やベクターなどにもよりますが、in vitroであれば、50個程度から、in vivoでは、約500個から検出可能です。 IVIS Spectrumで測定した場合に、マウス皮下に移植した5個の細胞の発光を検出した例もあり、発現の強度、光源の深度等の条件に依存します。 どのくらいの深さまで検出可能ですか?プロモーターの種類や活性、光源を取り巻く生理的条件などに因りますが、1~3cmぐらいの深さであれば検出可能です。マウスの場合、各臓器のシグナルを観察することは十分可能です。 またラットでも動物を装置にセットする際に仰向け、うつ伏せ等位置を変えることにより観察可能になります。 IVISのイメージング測定時間はどのように決めたらいいですか?生体測定時の目安として1回の測定あたりの発光イメージングは1min、蛍光イメージングは5~10secとなります。測定サンプルのシグナルの強さにより測定時間は異なります。 最適なExposure timeがわからない場合は、Exposure TimeメニューからAutoを選択することも可能です。 Spectrum-CTでCT撮影した場合、マウスへの被ばく量はどのくらいですか?使用する撮影モードにより撮影条件、時間が異なるため被ばく量も異なりますが、13mGy~となります。 IVISにおける定量について(発光)関心領域を数値化したい場合は、ソフトウェア(Living Image)上でROIというツールを使用し、数値化したい領域を定めます。定量の単位として、発光ではTotal Flux※1とAverage Radiance※2があります。
※1 Total Flux:光源の光度つまり光の強さ(単位はphotons/sec)。 値がマイナスになっている数値化した際にバックグラウンド部分でマイナス値が出ることがあります。 通常、夜間実施しているCCDカメラのオートバックグラウンドにより値が補正されたことに由来しており、”0”と考えて問題ありません。 ファイルが開かないデータを読み込む際のディレクトリ内に日本語などの全角2バイト文字が含まれている場合はデータの読み込みができません。ファイル名を半角英数字に変更して読み込み直すか、ファイルの場所を変更して読み込みができるかご確認ください。 その他のFAQLiving ImageソフトウェアについてLiving Imageソフトウェアについて IVIS Imaging Systemをご購入された場合、通常5ライセンス付属しています。 5ライセンスすべて認証済の場合は、それ以上のPCにインストールして使用することができません。 "Activationの際にライセンスに空きがありません"というメッセージが出た場合は、ライセンスを追加でご購入いただくか、使用していないPCからライセンスの返納を行ってください。 他のModalityとの重ね合わせは出来ますか?可能です。 MultiModality kitを使う事でリガク社CT装置(R_mCT2, Cosmoscanシリーズ)とはマウスの体位を動かさないまま自動重ね合わせが出来ます。また、DICOM形式のデータであれば読み込みが可能なため、PET装置(G4/G8)など他のモダリティとのデータの重ね合わせも可能です。 装置のメンテナンスや不具合等に関するFAQ日常の点検について使用前に、カメラおよびステージ温度の確認、オートバックグラウンドが実行されているか、麻酔装置への活性炭フィルターの接続、活性炭フィルターの重量測定を行ってください。活性炭フィルターは、必要あれば(初期重量から指定された重量より増加した場合)交換を行ってください。使用後は、装置内ステージや麻酔装置付属のマウスチャンバーの清掃を行ってください。 日常の点検に加え、エンジニアによる年1回の定期メンテナンスを行うことを推奨します。 装置内部の清掃についてスプレーでの噴霧は避け、内部の清掃は拭取りで行ってください。70%エタノールのほか、3.4%グルタールアルデヒド、1.56%フェノール、3~5%漂白剤(脱イオン水で希釈)も使用可能です。清掃時は水分が内部に滞留しない様換気を十分に行ってください。 ガス麻酔システムの麻酔用フィルターの交換時期について未使用状態で重量を測定していただき、定期的に重量を測定してください。指定の重量※以上になったら新しいフィルターと交換してください。 ※ XGI-8用麻酔フィルターの場合、50g増加したら交換が必要です。 マウス逃亡時の対処方法についてLiving Imageが立ち上がっている状態でマウスが逃亡した場合: 自立型のIVIS装置(Spectrum系)の場合はコントロールパネルのServiceボタンをクリックし、ステージを一番上まで上げたら、ステージ手前にあるつっかえ棒を引き出して入口の部分にストッパーとして止めた上でマウスを捕まえます。 Living Imageが立ち上がっておらず、マウス逃亡からしばらく経過している場合: 参考資料 マウス救出手順書 電源が入らない・PCが立ち上がらないエンジニアまでご連絡ください。 横浜サポートセンター:045-508-2171、本社:03-5220-1520 イニシャライズができないLogファイル(以下)を入手してエンジニアまでご連絡ください。 (C:\Program Files\Caliper Life Sciences\Living Imageフォルダのliactivit.logおよびliactivit.bakファイル) その間、ソフトウェアを一旦閉じてPCのシャットダウンと装置のスイッチをオフにした後、1分程待ってから再度立ち上げて様子を見てください。 アラーム音が鳴っているUPSもしくは装置やPCのいずれのアラームが鳴っているか特定してエンジニアまでご連絡ください。 カメラが冷えない一般的にはカメラの冷却能力の低下が考えられます。Spectrumシリーズの場合は冷却液の欠乏やチラーの故障も考えられますので、Control PanelのTemperature Boxからカメラ温度を確認してエンジニアにご連絡ください。 また冷却機構に過負荷がかりますので、すぐに使用しない場合は、装置全体の電源を落としていただくようお願いいたします。 その他不具合がございましたら具体的な状況をエンジニアまでご連絡ください。 横浜サポートセンター:045-508-2171、本社:03-5220-1520 不具合の状況が確認できる画像、エラーメッセージやカメラインフォ等のファイルを送付する場合は、メールでご連絡ください。 |