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日本発の研究資材を世界へ発信し、がん研究・創薬の未来に貢献する。

医薬品の未来を見据えて、常に新しいビジネスの開拓に挑戦し続けるSPI。「がん領域の創薬研究の革新」と「日本発の生物資源を世界へ発信する」というゴールを目指して現在も進行中のプロジェクトを追いかけました。

YN

管理職 2019年入社
創薬支援部 新規モダリティ支援グループ 兼 生物資源グループ
応用生物科学研究科 資源生命科学専攻 修士卒

大学院では、糖鎖生物学を専攻。企業の研究者(有機化学合成による試薬の研究開発)を経てSPIへ。生物資源を取り扱う国内外ベンチャーが有する研究資材を、製薬企業やアカデミアに紹介する営業活動に従事。本プロジェクトでは全体進捗管理を行うチームリーダーを担当。

AT

一般職 2012年入社
創薬支援部 提携グループ 兼 新規モダリティ支援グループ
現代文化学部 言語文化学科卒

入社以来、細胞株をはじめとする生物資源の輸入ビジネスに貿易事務担当者として関わってきた。輸入ビジネスの経験は豊富だが、本プロジェクトでは、自身初となる輸出ビジネスの貿易事務を担当し、日本からイギリスへの輸出スキーム構築に取り組んでいる。

TS

総合職 2020年入社
創薬支援部 新規モダリティ支援グループ
理工学部 生命情報学科卒

大学では生命情報学を専攻。現在は、次世代の医薬品(New Modality)に焦点を当てて、企業やアカデミアの研究者に創薬研究をサポートする商材、技術、製造サービスを紹介する業務に携わる。本プロジェクトでは営業担当として、現場でプロジェクトをリードしている。

SESSION 01

次世代のがん研究につながる研究資材提供サービスの事業化へ

細胞、微生物、遺伝子といった生物資源は、創薬研究に必須となる研究資材である。SPIでは、そのような生物資源を、多くの製薬企業やアカデミアに提供しており、近年求められる新しい研究資材のトレンドの動きにもいち早く注目。従来までの細胞から、患者の手術検体などから作製されたオルガノイド*と呼ばれる細胞塊へと、研究資材のトレンドが移行しつつあることをとらえて、がんオルガノイドの提供サービスを目指す新規プロジェクトチームを立ち上げた。

チームに課せられたミッションは、がんの研究・創薬に関わる新事業を創出する、というものだが、もう一つ大きな狙いがあった。チームリーダーYNは、「がんオルガノイドを端緒として、日本の優れた創薬研究資材を世界に発信していく流れをつくりたい」とプロジェクトに込められた戦略的な意義を語る。

* オルガノイドとは、試験管などの生体外で、幹細胞から作られる臓器に似た資材。臓器特異的な細胞が三次元的に自己組織化しており、単一細胞の分析よりも多くの情報をもたらす場合があるだけでなく、薬の効果や副作用を調べるのにも役立つことが分かってきた。

SESSION 02

SPIのネットワークを活用し、欧州のパートナーと出会う

世界に売り込む日本発のがんオルガノイドとしてSPIが注目したのが、福島県立医科大学(福島医大)が作製するF-PDO®だった。F-PDO®は、日本国内で知的財産権を持ち、また日本をはじめアジア人に多いがん種に対応しているという強みがある。

また、海外に展開する上での販売代理店パートナーの選定を、SPIのネットワークを活用して粘り強く続けた結果、欧州で候補先の研究機関に出会うことができた。F-PDO®を高く評価してくれたイギリスの研究機関Cancer Research Technology(CRT)から検証試験の申し出をもらうことができたのだ。すぐにSPIは福島医大と連携して、試験サンプルの提供を開始。CRTと福島医大をつなぐハブとなったのが、営業担当のTSだった。「どんな視点からデータを出せば、CRTの要求に応えられるのか? どうサポートすれば、福島医大の研究者の苦労の結晶であるF-PDO®の価値がもっと伝わるのか」TSは、福島医大からの技術情報を理解し、要点を理解した上で、適切な英訳で伝えるという取り組みを、YNとの打ち合わせを重ねながら地道に実施。CRTの研究者からは“専門的な議論ができる相手”として認められる存在に成長した。

SESSION 03

グローバルなサプライチェーンをゼロから構築

福島医大でCRTに提供するF-PDO®の試験サンプルづくりが行われると同時に、SPIでは福島からイギリスへの輸送ルートの構築が進められた。貿易実務を担当するATは、イギリスへの輸出に関する規制等を事前に把握したうえで、必要書類を準備し、輸出業者と連携して輸出ルートの選定を進めた。

今回のプロジェクトでは、がんオルガノイドならではの輸送手段の確保が求められた。がんオルガノイドは液体窒素中で凍らせて運搬する必要があり、一度でも溶けてしまえば使えなくなってしまう。そのため、液体窒素の補充場所や補充人員の手配など、綿密な準備が行われた。かくして、F-PDO®のサンプル輸出は、無事にスタートを切った。しかし、これでATの仕事が終わったわけではない。ATによると、輸出入には貨物を載せていた航空便が欠航するなどのハプニングは日常茶飯事だという。そんなイレギュラーであっても、いかなる状況にも素早く対策を検討して実行に移していく。ATのような貿易実務担当者の働きが、創薬に欠かせない研究資材のサプライチェーンを支えている。

SESSION 04

プロジェクトのその先に、SPIが目指すもの

現在、F-PDO®の本格的な出荷に向けた準備が順調に進んでいる。3人のメンバーは、がんオルガノイドという最先端の商材でゼロから事業を立ち上げる経験を通して、各々が確かな手応えを得ているようだ。営業担当TSは、「福島医大の先生からは、適切に技術を理解して伝えてくれて感謝していると仰っていただき、自分の付加価値を実感できた」と自身の成長とプロジェクトへの貢献を語る。また、貿易実務担当のATは、「SPIでも貴重な輸出業務の実務を経験できた。また次の日本発の輸出ビジネスを展開するときには、今回の経験をマニュアル化し、より効率的に進められるよう、SPIに貢献したい」と自信に満ちた表情を見せる。チームリーダーYNは、「事前に立てた仮説が実際の現場で動かしてみると思っていた結果と異なるということは多々あり、実際慌てた場面はありました。ただ、自分の仮説が違っていたとしても、その結果をもとに仮説を修正し、もう一度現場へ…と、走りながら形にする事業開発の面白さ、醍醐味を味わうことができました。今後も事業開発を進め、第二・第三の輸出案件につなげて“日本発の創薬支援”を拡大させたいです」と喜びを噛み締めつつも、視線はもう先を見据えている。

3人によって今、出来上がりつつあるSPIの新たな輸出ビジネスのスキーム。それをベースに、SPIが日本発の創薬支援ビジネスをどのように世界に広げていくのか、大いに注目いただきたい。