MSOT:アプリケーション

アプリケーション

分子イメージングの可能性を広げます!!

空間分解能、浸透深度、リアルタイムの操作性、感度、特異性の点で、その優れた特性のため、MSOTは、多数のアプリケーションに使用することができます。

OPUSによる小動物イメージング

MOSTは、生物学、薬理学、医療、材料関連の研究など、多くの分野に影響を与えます。 主なアプリケーションは、次のとおりです。

  • 癌:血管新生、腫瘍の低酸素状態、標的分子プローブの分布の分析
  • 循環器系:不整脈、虚血、プラーク形成、プラーク脆弱性のバイオマーカーのイメージング
  • 脳:グリア芽腫、灌流、脳卒中、および神経変性疾患の分析
  • 動態:薬物動態学的特性、薬物送達、臓器の機能を解析するためのプローブ分布の時間的・空間的な変化のリアルタイムな可視化と定量

アプリケーションの幅は、特定のニーズに合わせることでユーザー自身が拡大させることができます。アカデミアの研究における強力なルーツと、アカデミア、製薬企業双方のパートナーとの緊密な連携により、iThera Medicalは、新しいアプリケーションを継続的に提供し、前臨床および臨床応用における新しい画像診断法となることを確信しています。


MSOTの際立った特長は、高い空間分解能、高い検出感度に伴う圧倒的な分子コントラスト、リアルタイムでの操作、高い費用対効果および非電離放射線の使用にあります。現存する画像診断装置の中にこれらすべての特長を備えたものはMSOTの他にありません。

これらの優れた特長からMSOTは血管新生、細胞増殖およびアポトーシスといった腫瘍の成長および治療に関連した癌プロセスにおいて優れた能力をを発揮します。

標的特異的なバイオマーカーを使用することで、腫瘍塊、細胞および周辺の血管を強調することができます。さらに、リアルタイムでのイメージ取得および再構成により腫瘍や組織の生理機能に関連した動的現象を、アーチファクトなしで観察することが可能となります。

ドラッグデリバリー(薬物動態)

化学療法は急速に増殖している細胞を標的としていますが、その際に患者に対して毒性のある副作用が日常的に起こります。固形腫瘍は限局して存在する性質を持つため、腫瘍部分に的を絞った化学療法は治療効果を上昇させ、同時に患者の副作用を軽減させる可能性があります。それゆえにドラッグデリバリーの非侵襲的なモニタリングは極めて重要です。

MSOTではスペクトル分解によってオプトアコースティックコントラスト試薬の局在を高分解能で解析できるため、関心領域(ROI)に注入された薬剤の取り込みをモニタリングできます。例えば、MSOTは腫瘍のコントラストの増幅や可視化に利用できますが、それと同時に新規薬剤の腫瘍特異性に関する情報も得られます。そのため、MSOTは腫瘍におけるドラッグデリバリーおよびその排出を可視化するような経時的研究に使用することができます。さらに、近赤外(NIR)プローブとの組み合わせにより、高分解能分子イメージングを行うことも可能です。

腫瘍領域におけるプローブ蓄積

腫瘍の低酸素状態

腫瘍の微小環境が低酸素状態になると、血管新生が促進されて新しい血管が成長することが知られています。さらに、低酸素状態は腫瘍の増殖に影響する細胞内シグナル伝達経路にも影響を及ぼします。

それゆえ、増殖中の腫瘍内における低酸素状態の測定することで腫瘍の基本的な増殖特性に関するデータが得られると同時に、臨床試験において使用可能な見込みのある治療領域についても有益な知見を得られる可能性があります。

MSOTは、組織内の疾患領域を示す血行動態関連バイオマーカーの検出を独自の方法で実現します。得られた知見は、治療計画の理解および評価の助けとなります。

MSOTは、バックグラウンド組織の吸収(ヘモグロビン以外の要因による)から酸素化ヘモグロビンおよび脱酸素化ヘモグロビンを分離し、疾患の状態を評価できる精密なツールです。

腫瘍同種移植マウスにおける血液酸素化の経時的変化

循環器系


確実なプラーク診断

MSOTは心血管系構造の可視化を高分解能に行えるだけでなく、アテローム性動脈硬化の不安定プラークやその他の心血管疾患に関連する特異的バイオマーカーの検出、また例えばMMPやプラーク形成に関連するその他の分子やプロテアーゼの発現増加、組織内灌流および酸素化の定量も行うことができます。

さらに、リアルタイムでの操作が可能なことは心血管系のイメージングにおいて特に重要な特長です。リアルタイムでの操作が可能なことで心拍や呼吸などの動きに起因するアーチファクトのない高分解能画像を得ることが可能です。

確実なプラーク診断

血管

アテローム性動脈硬化では、血管中にプラークの蓄積が生じ、その結果血流の閉塞が起こります。プラークの成分を非侵襲的に評価することができれば、不安定化に関する貴重な情報、例えばプラーク粒子が血管壁から剥離するリスクなどについての情報を提供することが可能です。

MSOTでは、アテローム性動脈硬化の研究に広く利用されている頚静脈および頚動脈などの血管全ての断面を可視化することが可能です。炎症のバイオマーカーであるインテグリンやMMPを標的とする分子プローブにより、プラークの不安定性についての特性の解析が可能です。

血管

心拍動

不整脈は心拍における規則的および不規則な変動を特徴としています。不整脈は命にかかわる脳卒中や肺気腫の発症の可能性を増大させます。また、薬物治療の副作用として観察される場合もあります。心毒性の可能性の評価は創薬の過程において非常に重要なステップです。

MSOTでは、拍動する心臓の両心室の観察に使用可能で、正常な心臓および不整脈を起こしている心臓をin vivoで観察することができます。さらに、心肥大も可視化できます。このため、心機能の一般的な評価、および心疾患や薬物治療に関連した病理学的変化を明らかにすることができます。

心拍動

血液酸素化

血液中の酸素飽和度は、心臓血管疾患に多い虚血プロセスについての知見が得られる重要な生理的因子です。さらに、酸素飽和度の変化は、腫瘍増殖、血管新生および壊死といった病理学的プロセスを示唆している場合があります。

血液酸素化が、良好な治療効果を示す場合もあります。MSOTは横断像でマウスの血液酸素飽和度状態をリアルタイムに分析する能力を備え、解剖学的所見および分子プローブの局在を同時に可視化します。

血液酸素化


MSOTは、皮膚および頭蓋を傷つけることなくin vivoでの小動物の脳イメージングを行うといったアプリケーションに使用することができます。

膠芽腫研究におけるMSOTの利用は、その顕著な例の一つです。分子プローブ解析における高分解能、高感度および特異性、さらに酸化型ヘモグロビンの定量を行うことで、腫瘍の進行に関連した研究に使用することが可能です。

MSOTはまた、薬剤が血液脳関門を実際に通過することができるかどうかを評価するために使用することも可能です。

Tumor hypoxia

分子プローブ

アルツハイマー病やパーキンソン病のような一部の神経系疾患は、障害がある程度の閾値を超えるまで臨床的な診断に至りません。しかし、早期疾患を示す分子バイオマーカーは、神経性障害が臨床的に発現するよりもはるかに前から存在しています。

多くの場合、薬物療法の開始時期が、予後を大きく左右します。そのため、神経系疾患に打ち勝つうえで、分子イメージングによるバイオマーカーの特定が大きく期待されています。

MSOTでは、皮膚や頭蓋骨を傷つけずに、マウス脳内におけるプローブの空間的分布を正確に評価できます。特定のプローブとの組み合わせにより、in vivoにおける神経系疾患の分子的特徴を研究することが可能になります。

分子プローブ

ドラッグデリバリー

脳に対する新規治療法の開発において、血液脳関門が大きな障害となります。そのため、脳における薬剤のデリバリー、局在、クリアランスのイメージングは極めて重要です。

MSOTでは脳内のプローブの蓄積およびクリアランスをリアルタイムにモニタリングでき、脳内における分子プローブの薬物動態の直接的な可視化と計算を可能にします。

MSOTは、脳内における薬剤の半減期の測定および疾患マーカーの局在を調べることができます

ドラッグデリバリー

血液の酸化

脳内の低酸素症は、局所的脳虚血および脳腫瘍、特に多形性膠芽腫の特性です。虚血の場合、脳内の血液の酸化量を可視化することで、虚血性障害の範囲を明確にすることが可能です。膠芽腫の場合、低酸素症は腫瘍成長や治療における血管新生および放射線への耐性と関連しています。

MSOTは皮膚および頭蓋を傷つけることなく、in vivoで血液の酸化をモニタリングすることが可能です。このため、虚血および脳卒中に関連する変化、ならびに実験的な損傷によるアポトーシスおよびネクローシスに関連する変化を含め、血液の酸化における病理学的変化をin vivoで可視化することが可能です。

血液の酸化

グリア芽腫

MSOTは、同じ動物で繰り返し長い期間をかけて非侵襲的に画像を撮影できるので、経時的なイメージングが可能です。そのため、グリア芽腫のような疾患の進行を追跡することができます。

血液の酸素化マップにより増殖中の腫瘍のサイズや形状を示すことができる一方で、分子プローブを使用することで血管新生や炎症性反応といった疾患の過程を解明することができます。グリア芽腫において、低酸素状態は腫瘍の成長と関連しており、血管形成や放射線耐性とも関係していると考えられています。したがって、グリア芽腫内における低酸素状態の役割を研究するうえで脳内の血液酸素化の検出をすることは有用です。さらに、適切な治療法の選択も可能になるかもしれません。

MSOTは、皮膚や頭蓋骨に傷をつけなくとも腫瘍増殖の生理的特徴を検出できる透過性、特異性および分解能を備えています。

グリア芽腫

動態


治療および診断プローブの候補化合物の生体分布および薬物動態を測定することは、創薬プロセスの極めて重要な第一歩です。初期研究においては、新規薬物の吸収、分布、代謝および排泄の特性を明らかにしなければなりません。

MSOTを使用することによりリアルタイムで全身の断層画像を取得することが可能となり、それによって薬物の局在性および生物学的半減期を測定できます。その結果プローブの取り込みおよびクリアランスの解析が迅速かつ容易に行えます。

Tumor hypoxia

腎臓の灌流

腎臓は薬物動態研究における重要な標的です。水溶性の薬物または代謝物は、糸球体によってろ過され尿中に排泄されます。

MSOTは、in vivoでの腎臓内の薬物の局在を可視化し、腎機能をリアルタイムで評価することができます。腎臓によってろ過された非標的プローブでのデータは、健康な腎臓の基礎機能の確認に使用可能で、腎疾患の程度を決めるため疾患モデルとの比較に使用することができます。

腎臓の灌流

腎濾過

腎臓は、薬物動態研究において重要な標的器官です。水溶性の薬剤やその代謝産物は糸球体で濾過され、尿中に排出されます。

MSOT技術を使用すると、腎臓における薬剤の局在をin vivoで可視化でき、リアルタイムで腎機能の評価を行えます。腎臓で濾過される非特異的プローブを使用すると健常な腎臓の基礎機能を確認でき、疾患動物との比較によって腎疾患の程度を把握できます。

腎濾過

プローブの蓄積

薬物の生体内分布および動態研究は、新薬の開発プロセスにおける重要なステップです。そのため、目的の臓器内に注入された薬物の局在解析は極めて重要です。

従来は、経時的に採取された血液または臓器を用いて、ex vivoで化学的分析が行われていました。この方法には経費がかかり、長時間を要する場合があります。

MSOTは、横断面で150μm程度までの構造をリアルタイムで解析する能力を備えています。マウスに注入されたプローブの全身にわたる動態および分布について、時間的および空間的に高い分解能による定量的画像化を可能にするのはMSOT以外にありません。

プローブの蓄積

胃内容排出

胃内容排出速度は、創薬過程において重要な生理的評価項目です。古くから胃内容排出については侵襲的な方法や死後解剖によって研究されています。

MSOTは、胃運動を非侵襲的にin vivoで定量測定することでこの解析に革新をもたらします。

胃内容排出